“KEEP CALM and GET A DEGREE”
こんにちは!
南アフリカは徐々に秋っぽくなってきました。
昼間は30℃近くまで気温が上がりますが、夜は10℃台前半まで冷え込みます…
そんな南半球からは、最近南アで起こったある「騒動」についてです。
ちょっと長いですので、勉強や就活、たまこみの活動の合間に読んでください!(?)
その「騒動」とは、南アフリカを表す大事なワードである
「ストライキ」「protest」★☆★
(なんかルー◎柴みたいですが、
こっちのほうがいいかなと…ストライキやデモ、暴動をまとめてprotestと呼びますここでは)
南アフリカといえば、犯罪率の高さで有名ですが(南アでググってみよう!正直めっちゃビビる)
それだけじゃない!
労働者のストライキや一般市民によるデモなどの「protest」が日常茶飯事のごとく行われています!
(実際に見る機会はないですが笑)
南ア警察のレポートによると、毎年1万件以上、集団でのデモ・ストライキ等が行われているそうです。
(南ア警察もそんなによろしくないという話なので
どこまで正確かは分かりませんが、規模感が伝われば!)
去年世界的に注目を集めた、南ア大学生による #FeesMustFall の運動もある種の「protest」ですね。
これは公立大学の授業料を上げようとした政府に対しての運動で、見事成功しました!
(これのおかげで少なくとも僕の大学では入学・留学関係なく
申請をする際のFeeも無料に!ありがたい)
※参考: https://goo.gl/SPjPni
また、地方政府の行政能力にだいぶ問題があるみたいで
それに対してのデモや暴動のようなものも5年でほぼ2倍の数になったとかならないとか…
労働者のストライキは、賃上げ等の労働環境改善を求めるもので、
2012年にはある鉱山で
ストライキ・protestする労働者に警察が発砲し死傷者が出るという事件も発生し、
多方面でザワザワしました。
※わざとザワザワとか言ってます。ほんとです。
そんな南アの「ptotest」ですが、なんと今回わが大学でも発生…!
大学のキャンパスが1週間閉鎖、その分学期間の長期休みが1週間減りました!
学生達がデモのような形で集団となり、一部は暴徒化し、
キャンパス内の銅像等が破壊されるなど、かなり大きな爪痕が残りました。
未だに残る破壊された車
事態はかなり複雑で、正直僕も全貌が掴めていません。
なので、ここでは実際に起きたと確認できたことや僕が感じたこと(あくまで主観)を伝えることで
日本のニュースでは流れない(実際に調べましたが見つかりませんでした)南アのリアルを紹介したいと思います。
(詳しく知りたい方は、阪大の某ホー…いやこれ以上は言えない…授業を取って聞いてみよう★)
前提として、
そもそも去年から授業料に対する学生運動でザワザワはしていましたが、
今年に入りその運動もかなり、少なくとも僕の大学では、下火になっていました。
そんな中2月上旬に大学キャンパス内の掃除・ごみの管理をする
清掃員(外部の委託会社が雇用)のみなさんが
賃上げを求め、ストライキを複数回にわたり実施し、キャンパスは荒れました。ごみで。
ここでは学食が、日本のようなレストランではなくファストフード的なテイクアウトの形なので、
かなりのゴミがキャンパス内で発生します。
ゴミ箱も無数にあるのですが、
それでも学内の飲食店が集中し学生が食事をとるエリアはゴミが箱から溢れ、
地面に散乱し汚いとしか言いようがない状況となりました。
(毎日ストライキしていたわけではないのでキレイにはなりますが、1日でも本当に汚いです。
正直、最初にストライキしてprotestしていると聞いた時は、
ゆうてそんな影響ないやろ~~と侮っていたので、反省。。。
ただ、そのプロテストも2月中旬頃から一部学生の協力を得て、
規模が大きくなり始めます。
(ここら辺はよくわからないのですが、
さらに一部学生が暴徒化?し、図書館の蔵書を焼こうとしたとかなんとか…)
そして、2月22日夜、事態が大幅に悪化します。
きっかけは、キャンパス内で行われたラグビーの試合でのことでした。
日本が南アを下したことで、五郎丸が盛り上がったラグビーですが、
アメリカでいうアメフトのように国民的スポーツの1つです。
(他にはサッカー・クリケットが人気)
ただ、いまだに“白人のスポーツ”というイメージが拭い切れてはいません。
実際多くの選手が白人です。
大学間ラグビーも人気で、僕の大学は去年優勝しています。
なので、観客からしてみれば重要なホームゲームなのです。
その試合中、突然、何人もの人がフィールドに乱入してきます。
それは、清掃員やそれをサポートする学生たちによるprotestでした。
彼らはフィールドを占拠し、試合は中断。
黄色っぽいのはセキュリティのみなさんで、それ以外がprotesters
そこに、観客が彼らをフィールドから外に出して試合を再開させようと
続々とフィールドへ入っていきます。
対峙する両陣。
その後何が起こったか、その場の僕の目ではよく分かりませんでした。
分かったのは、protest側の学生たちがどんどんフィールドの外に逃げていくという状況だけ。
(赤いTシャツを着ているのが観客サイド。protest側は写真の奥の方向に走っていきました。)
しかし実際には暴力事件でした。
この動画でよくわかるかなと思います。
つまり、観客側(多くが白人?)がprotest側(多くが黒人)に暴行していたのです。
(ただ、試合前にprotest側が白人の女子学生に暴行したという事実もあり、これが一因でもあります。)
ただ、このあと試合は再開。
しかし、試合後、protest側が完全に暴徒化し、
警察が出動、ゴム弾?で発砲するというところまで来ました…
警察車両
寮の部屋で寝ていても発砲音で起こされました( ゚Д゚)
ラグビーの試合での事件が「白人が黒人を殴った」と認識され、
「protest側の黒人が白人を追いかけている」という噂も流れます。
キャンパス内の寮は全て厳重にロックされました。
こうした事態を受け、キャンパスはひとまず2日閉鎖。
授業はもちろんなくなりました。
しかし、キャンパス閉鎖中も一部の学生の間でprotestは続き、
さらに一部が暴徒化。キャンパスのゲート前でタイヤを燃やすなど、
かなり行動もエスカレートしていきました。
向こうに見えるのがprotesters
僕は、たまたまラッキーなことに、ちょうど阪大の先生・大学院生の方々が来ていたので、
身の安全をということで、キャンパス外で安宿を取り、危険からは離れることとなりました。
普段とは逆に、キャンパス外の方が安全とは…
結局、protestは1週間つづき、キャンパスもその間閉鎖。
次の週の月曜日からは何とか授業が再開されました。
暴徒化した方々によって荒らされゴミだらけ
冒頭で、事態はかなり複雑、と言いましたが、
それはprotest側の主張がごちゃごちゃしていたからです。
当初は、清掃員の労働条件改善でしたが、
気づいたらそれだけでなく、
大学の公用語(?)(official language)に「アフリカーンス語」が含まれていることに対する反対運動、
学長であるJ・J先生(イニシャル)の辞任を求める、#JJMustFall 運動、
などなど。
それは通称EFFと呼ばれるポピュリスト政党の学生員たちが南アの多くの大学で反アフリカーンス語運動、反植民地・反アパルトヘイト的な運動を先導しており、
そうしたメンバーが参加していたからというのも1つの理由です。
アルジャジーラの動画はまとまっていて分かりやすいのでどうぞ…!
結果的に、この運動を通して大学の公用語から「アフリカーンス語」は実質的に外される、
“Multi-lingual Policy”(?)のようなものが来年から実施される運びとなりました。
(講義は基本英語で行い、
チュートリアルと呼ばれる補講?TAセッション?みたいなものにおいて、
その他の言語を使ったサポートをすることで、英語以外が母語の学生に配慮しよう的な感じです。
実際現地の学生でもコミュニケーションには問題ない、
しかし「アカデミックの英語は苦手…」という学生は少なくありません。
ちなみに母語が英語以外の学生同士では母語での会話が多いので全く何言ってるか分かりません…)
そもそもアフリカーンス語とは?を説明しだすと長いのでググってください!笑
ざっくり言うと、イギリス植民地となる前からいたオランダ系白人が持ち込んだ、
オランダ語の方言が1つの言語として成立したものです。
(オランダ人留学生はアフリカーンス語大体何言ってるかわかるって言ってました…うらやま…)
例えば、世界で最も危険都市の1つと言われる「ヨハネスブルク」ですが、
英語では「Johannesburg (ジョハネスバーグ)」と読み、略してジョーバーグ。
これをアフリカーンス語では「ヨハネスブルフ」。
(gは日本語にない音で、こすれた?ような は行の感じです。)
今でも多くの白人・カラードが母語としています。
現在は大学の授業が基本的に英語/アフリカーンス語で開講されており、
アフリカーンス語で学位も取れます。
(ちなみに僕もアフリカーンス語習い始めました。Goeiedag!)
ただ、植民地支配とともに持ち込まれたこと、
アパルトヘイト政権がアフリカーンス語での教育を強制しようとした歴史的背景等から
「植民地支配」「アパルトヘイト」のイメージがあったりはするみたいです。
暴徒化ってどうなんやろな
また、大学の公用語であるのはアパルトヘイト時代からの名残で、
「Transformation」
(説明しづらいですが、望ましい社会への前進的な?
この説明は絶望的なので、ちゃんと知りたい方はアフリカ政治・歴史を学ぼう。。。)
が不十分だ、という反発を今回招きました。
実際、なんでアフリカーンス語は公用語なのか、
なぜ他の9つの南ア公用語ではないのか、ということの納得のいく理由を聞いたことはありません。
レクチャラーの多くがアフリカーンス語話者の白人であるということが、
実際の運用を可能にもしています。
なぜアフリカーンス語を母語とする人だけは母語で授業を受けられるのか、
という主張がプレトリア大学その他でもなされているそうです。
(英語は、全ての学生?が第一外国語(っていえば日本的には通じるはず)として学んでいるので、
特にやり玉には上がっていません。というか、11の公用語を持つ国で本当にほぼ全ての人をつなぐのは英語なのかな。インドとかと似てると思います~)
プレトリア大学の様子はこちらから
まぁまぁこんな形なんですが、
今回最も主要なテーマとして、授業再開後も物議をかもしていた、そして僕が諸々感じたのが、
RACE、人種についてです。
アパルトヘイトが撤廃され、1994年の初の民主的な選挙によって「解放」された南アフリカですが、
未だに「人種」の問題は残り続けています。
人種間和解は進んできているというレポートも出され、
人種ではなくむしろ所得階級(class)で分断される社会となってきた(南アは世界最高レベルの格差社会)という話もありますが、
それでもいまだ、人種という問題に捕らわれています。
そりゃアパルトヘイト下に比べたら、ですが。
図書館前。「BIKO」はアパルトヘイト時代の黒人闘士です。
「黒人意識覚醒運動」を先導した、少々radicalな方。
今はもうキレイに消されています。
こんな感じで学校中にある種の落書きがなされました。。。
今回はなんというか、「人種」という問題に対する脆さ?みたいなものを感じました。
というのも、
そもそものラグビーの試合での対立構図は
「試合を妨害する側」と「試合を再開させたい側」
であったはずです。
しかし、それがいつの間にか人種間対立として煽られ、“そういうもの”として認識されていきました。
たぶん経済的な状況などなどみんな諸々不満要因を抱えているとは思います。
ただ、それが今回こういった形で、対立軸が「人種」で爆発してしまいました。
また、ここでは「white privilege」というワードに関する記述をしましたが、
勉強不足のため今回は省力★☆★☆
誰かwhite privilegeについて教えてください…
またまた、寮の黒人学生が、騒動後に聞き取りに来た大学関係者に話したいたことも印象的です。
彼はprotestには参加していませんでしたが、
protestでキャンパス閉鎖中に学内を歩いていると
そこにいた警察に銃を突き付けられた、というもので、
彼はそれを「black on black racism」と言っていました。(ここではメジャーな言葉なのかなと)
つまり、黒人からも黒人であることによってある種「差別」されているということです。
もちろんその学生が黒人だったから、というのは一因でしょう。
少しアメリカでの警官による黒人への対応と似てるのかもしれません。
ただ、protestがほとんど黒人等で構成されていたということと、
実際にその集団が暴徒化していた時期にprotest団がいてもおかしくないところを歩いていたこと、
これらを考えれば、これはレイシズムにも思えますが、
でも簡単にレイシズムで片づけていいわけでもないと感じます。
そもそも白人学生は身の危険を感じうる状況だったので、
キャンパス内でも歩いたりとかできなかったと思います。
警官が人種に関係なく銃を突きつけた可能性もありますし、可能性はなかったかもしれません。
なので、
完全にレイシズムでないとは言い切れませんが、それがレイシズムだったとも言えないかなと。
ただ、ここで大事なのは、彼がその事件を「人種」に基づく差別だと感じたこと。
彼の頭の中でそれが「レイシズム」だと認識されたこと。
YouTubeにはこんな感じでいろんな動画があるので、興味ある方はチェック!
これらの例を通して感じたのは、
語弊はあるかもしれないですが、「人種」というある種シンプルな対立軸に物事をもっていきやすい、
そういう意味での「脆さ」。
そして、この対立軸は、一度火が付くと、
どんどん燃え広がる、エスカレートしやすいものであるという、
そういう意味での「脆さ」。
なんでなのかと考えると、1つはやっぱり持ってるリズムや雰囲気?が違うのかなと。
実際、南ア生まれ南ア育ちの学生でも
黒人/白人で、やっぱ文化?が違うなというのは、2か月過ごして感じます。
もちろんそれは彼らの育った環境の違いから生まれるのでしょうが、
同じ教室で授業を受け、日々を過ごした現地学生間でも、「異文化や!」と感じさせられます。
(笑いのツボも完全に異なってはいないけど、一致してもいないかなと。)
そもそも多様な国で、本当に多様性を尊重して紛争をなくすことはかなり難しいのでしょう。
1人の寮の学生は、1994年から何も変わっていないと言っていました。
その真偽にはいろいろあるでしょうが、彼にそう感じさせた、それが今の南ア社会です。
アパルトヘイトは終わりましたが、
それは1つの差別を強制する制度が終わっただけであり、
まだ南アフリカは道半ば。
めちゃくちゃな文章で申し訳なかったですが、
少しでも今の南アフリカについて感じてもらえれば幸いです。
こんなに問題ばかり述べてきましたが、
ここは本当に美しい国です。
大学のMain Building
今は大学のイースター休暇← を利用してケープタウンに来ていますが…もう…
いわゆる"アフリカ"とは全く異なる世界が広がっています。
もちろん犯罪は多いでしょうが、
少なくともケープタウンは
危ないところに近寄らず、危ないことはせず、ふつ~に常識を働かせている分には
楽しく旅行できると実際の旅行経験者や現地の人は言っているので、
もし機会があればぜひ~~~~!
思ったよりワイン飲ませてくれて、折り返しの段階でふつうに酔ってるワイナリーツアーもあるよ☆☆
テーブルマウンテンからの景色・・・・溜息がこぼれます・・・
ではではアフリカの南端より★★