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体感!!#FeesMustFall 2016

Dumela~~

みなさんいかがお過ごしでしょうか?

南アフリカからお送りします。

ちなみに無駄に長いです。ごめんなさい。暇なときに読んでいただければ!

(写真は大統領のものを除いて、動画はすべて、著者撮影)

南アフリカは夏です。暑いです。夏バテになりました。

エアコンの冷たい風を浴びたい年頃です。。

(寮にはありません。。。)

寮の中庭。僕はちょうど真ん中あたりのどこかに住んでます。

さてそんな南アフリカ、暑いだけではなく、熱いです。

何がそんなに熱いかというと、学生運動!!

ご存知の方がいるかもしれませんが、

#FeesMustFallという大学の学費を下げて高等教育へのアクセスを改善しよう目的から始まり、

最近はいろいろな主張を含むようになってきている、そんな運動があります。

去年、2015年から始まりました。

その運動、今年は特に、「Free Education of ALL」を掲げ、

将来は学費を無料に、そこまでの行動計画策定を政府に求めています。

南アフリカではいまだに大学進学者は多くありません。

その1つの要因が家が経済的に苦しく学費やその他の生活費等を支払えないからというものがあります。

(僕は全くこれまで誘われるような経験もないですが、prostitutionもあるとか…)

大学やどの学位コースにいるかで学費は変わりますが、

僕の今いる大学では年に大体年20万円台後半~40万円台ほど。

イメージとして所得水準をGNI per capitaで見ると大体

南アフリカ: 約US$ 7400

日本: 約US$ 46000

(2015, World Development Indicators)

という感じです。

また、南アの学生はアルバイトする時間も職の空きも日本に比べると少ないです。

高卒でお金を貯めてから大学進学というルートも、

南アの高い失業率等を考えるときついのかな・・・?

(今年8月辺りだと、正規のもので約26%、失業の定義を広げたバージョンは約36%)

そして多くの教育を受けた、特にアパルトヘイト下でひどい扱いを受けていた人々が、

教育のおかげでこうして貧困から脱出できた、と語っています。

ネルソン・マンデラの有名な言葉でも以下のようなものがあります。

”Education is the most powerful weapon which you can use to change the world.” (ちなみに現南ア大統領はmatricという高卒レベル?も合格していないということで、時々ネタになったり非難されます。例えば…)

また、今現在政権与党であるAfrican National Congress (ANC)が

アパルトヘイト後の選挙(ANC勝利)で掲げた公約の1つが

学部レベルまでの教育無料化、だったわけです。

という感じで、

このままじゃいかんやろ、というのと、政府に対して約束を守れ!という両方があり、

大学への金銭面でのアクセスを改善しようという動きになってきています。

南アフリカではほとんどが公立の大学で、

各大学はそれぞれの支出を、

政府からのお金・学費収入・その他外部からの研究費収入や寄付といったもので賄っています。

ここで学費を下げるにはどうするか。この運動でフォーカスしているのは政府からのお金を増やす、もしくは日本でもあるような“奨学金”を拡充して大学在籍時点で学費を払えない人も通えるようにする、といったものです。

なので、基本的な運動のターゲットは「政府」、

そしてそこに影響を及ぼしうる大学マネジメント(大学の運営)や民間企業。

学生たちは基本的にプロテストを行い、授業妨害やキャンパスシャットダウンを通じて

大学のマネジメントが政府に陳情を入れるというルートや、

大学のキャンパス閉鎖で企業が政府に働きかけるというルート、

(例えば、大学がある地域は学生の消費などがビジネスの大きな部分を占めていたりするので、大学閉鎖となり学生がいなくなったりすると、そこのビジネスには大打撃だったりします。)

そしてメディア等を介して学生・若者の声を政府に届けるようとするルートなど、

こういった形で政府の方針や実際の政策を変えようとしています。

ちなみにこの運動、論点がけっこう多いです。

そもそもの発端が政府による学費値上げのアナウンスだったため、

・学費は上がっても良いか。良いならどのくらい?ダメなら全員上げるのがダメか、それとも家族の収入など低い学生だけ上げるのがダメか。

・学費の影響を受ける対象は誰にすべきか。全員?富裕層のみ?中間層も?

・貧困層が学費値上げの影響を受けるべきでないなら、どうやってアプローチするか。奨学金の拡充?誰が対象?給付式か貸与式?

・将来的に学費を0にすることは可能か。可能ならどうやって達成する?

・将来的に学費は0になるべきか。全員無料にするべき?貧困層だけ?全員何かしらは払うべき?

・学生たちのプロテストの方法は適切か。効果的か。暴力(人・モノに対して)は許容されるか。警察の学生に対する暴力は許容されるか。

・授業を受け試験を受け無事に卒業したい学生たち・家族を養う大学職員がいる中で、プロテストで大学閉鎖しようとしている学生たちの主張をどう扱うか。警察や民間セキュリティ会社を動員して力づくで授業等を継続させるべきか。あくまで合意できるまで話し合うべきか。

ざっくりまとめると、

・高等教育へのアクセスを改善するべき?そうならどうやって? (政府が相手なら)それを政府にどう主張する?

という感じです・・

将来的に学費を無料にできるか、できるとしてもすべきか、

というような内容はけっこう議論されていますが、

学生プロテストが暴力行為に走ってしまっていたり、

プロテストがあまりにもかたくなな姿勢で全く譲らないという感じすぎるため

世間的には支持は失いつつあるかなぁという感じです。

(大学を話を聞くと人種に関係なくそんなことも感じます)

警察もだいぶ容赦ないのですが(Police Brutalityと非難されたり)。

こんな感じで南アフリカが動いていますが、

僕の現在いるUniversity of the Free State(UFS)も例外ではありません。

Main Building

ざっくりいうと10月の授業日は1日、最終試験の日程は1か月ほど後ろ倒しです。

今回はニュースで分かるようなことを書いても仕方がないので、

(運動全体の詳しい話は○ーグル先生へ)

“外国人”の留学生として実際僕が留学しながら経験して感じてきたことを簡単にシェアしたいと思います。

なので、基本的に僕のいる大学でのお話。

最初にざっくりとした関係図を載せておきます。

おそらく途中でいろいろ見失うかもなので、適宜ご参照ください。

この運動は、うえで書いたように去年から始まりました。

去年も大学の学費値上げを政府がアナウンスしたことに対して、

学生が反対しプロテストを行ったのです。

結果的に2016年度分の学費上昇はなしとなり、一般的には学生が勝利したというような印象を与えました。

学生側でも「去年勝ち取ったと思ったのに…」という投稿も見受けられます。

(実は去年も学費無料化を訴えてはいましたが、学生間での政治的な対立等でそこは棚上げという感じ。)

そして今年の9月19日(月)。

高等教育を担当する大臣からの発表が。

「学費の値上げが必要な大学は8%を上限として学費上げてもOK!」

これが学生たちに火をつけます。

去年の勝利はただの幻想だった、まだ闘いは終わっていない、というわけです。

アナウンスは朝行われ、そのあとすぐに学生たちは図書館前の広いスペースに集まります。

そしてプロテスト開始。最初はまだデモみたいな感じでした。

ただ南アでは図書館の本が焼かれたり…ということがあるので、

その直後図書館とコンピューターラボ(阪大だとサイバーみたいな感じ?)は安全のために即閉鎖。

学生たちはキャンパスシャットダウンモードに入ります。

寮からの撮影

医学部棟へ行き、授業妨害。ほかにも行われていた中間試験を妨害し、

この建物は試験用。中では試験が行われていました・・・

最終的にキャンパスのメインゲートに集結します。

ちなみに僕は授業妨害とは知らず一緒にキャンパスを練り歩き、メインゲートでの集会も見学してきました。

その夜試験等を妨害したことを知った時の後悔たるや…

個人的には、試験やってもらったほうがすっきりプロテストできるんじゃないかと思いましたが(笑)

(あと、自分がされたら…うーーーん)

邪魔することが目的なので・・・うーーーーん

さすがに大学マネジメントもこれでは授業を続けられないとなり、

火曜日~金曜日までの授業・試験を停止し、1週間のキャンパスシャットダウンとなりました。

とりあえず、その間に学生側や政府側等とも交渉して落ち着かせようという感じです。

さて学生側はどうまとまるか。

これまではSRC (Student Representative Council)という生徒会?のでかい版みたいな組織が

学生代表として、たびたび大学マネジメント側と交渉してきました。

SRCはおそらく法律上各大学に設立が認められている組織だったような。

しかしこの組織、政権与党であるANCの影響が大きかったり。

例えば僕のルームメイトはANCから奨学金をもらう代わりに、

その学生組織に所属し政治活動を行ったりしています。

で、そういったANCの影響下にある学生組織たちに所属する学生が多く

SRCのメンバーとして選挙で選出されるため、

政党側と学生側が対立したとき両者間でどうバランスをとるかが難しい。

去年は学費値上げなしのアナウンス後、ANCからそういった組織に

「学費値上げなしを学生側の勝利という形でしろ」(学費無料化はスルー)

というお達しがあったとかなかったとか。

そのためか、今回もSRCは基本的に“学費値上げなし”の主張でいこうのスタンス。

一方ほかの学生たちはそれでは不十分、“学費無料化”まで主張しなければというスタンス。

対立します。結果的にmass meetingで集まった学生たちの投票で後者が選ばれます。

そのまま、「Free Education Movement (FEM) UFS」が結成され、リーダーたちが選出されました。

ちなみに、その晩SRCのスタンスが投票で負けたためか、

Facebook上で謎のプロテスト終了宣言し、のちに謝罪・プロテストへの再参加となりました。

その週には地方政府のオフィスに”Peace March”ということで行進を行い、

要求をまとめたものを提出します。

そんなこんなで週が終わり、9月最終週からは授業があるかなというところ。

大学側は何としても授業再開させようとし、繰り返し「再開」のアナウンスを行います。

しかしFEMの学生たちにとっては全く合意ができていない状況で授業再開など言語道断という感じ。

日曜深夜の決起集会からの月曜朝6時~ゲート閉鎖、そしてキャンパスシャットダウン。

大学マネジメント側もさすがに無理ということで、

とりあえず月曜日1日だけ授業なしとなりますが、一向にプロテストがおさまる気配はありません。

というのも、これはこの大学(UFS)だけで起こっていることではなく

南ア全体で起きているため、UFSの学生も“Solidarity”という感じでプロテストを行っています。

みんなで政府にプレッシャーをかけようや、という話なわけです。

また他の地域では逮捕者が出たりする中で簡単にやめられないというわけです。

ただプロテストしていない学生たちからすれば、

何が起こっているかわからないという部分もありました。

大学側が授業再開→授業ないというアナウンスを繰り返しているだけにうつり、

Facebookのコメント欄には大学マネジメントへの辛辣なコメントが並びます。

その中にはもちろんプロテストより授業再開という人もおり、

そういった反プロテストの動きもだんだんと強くなっていきます。

そのまま次の日(火曜日)もシャットダウン。

状況は簡単には良くなりません。

最終的にその週はお休み。

10月頭からの1週間は春?初夏?休暇のため、結局10月10日授業再開となる予定でした。

僕はレソトへ逃避し、リラックスした休暇を送りました。。

その間、UFSでは特に大きな出来事はありませんでしたが、

ほかの大学では女性の学生たちがトップレスでデモを行うなどいろいろありました。

プロテストの火は一向に弱まりません。

休暇中もFEMなどの学生は動き続けます。

大学側との交渉を行うも、進展なし。

しかし大学側もこのまま閉めておくわけにもいかない。

学生に向けて、

「もし今年プロテストで授業・試験が行えなかった場合◇学部では○○人の学生が卒業できません。

△学部では何人。」

というレターをメールで送付しました。

もともとプロテストしていない学生にとっては受け入れられるものでも、

プロテスターにとっては大学マネジメントからの脅しともとれるこの行為、

火に油を注ぎます。

FEMのFacebookページを僕はレソトで恐る恐るチェックするわけです。

そこには、プロテスト継続の文字…

僕も今後どうなるかわからないということで一応大学へ帰ってきます。

10月10日(月)。

朝から寮の学生たちが試験を妨害されたなどなど述べながら帰ってきます。

ただ大学側からのキャンパスシャットダウンのお知らせはありません。

僕も授業ふつーにありました。

というのも

警察や民間セキュリティ会社のみなさんがキャンパス内に配備されており、

暴力行為を行っていないにも関わらず、

授業妨害等を行ったとして20人ほどの学生を逮捕します。

どうやら裁判所からプロテストを禁止、授業妨害や集会等を行った場合は逮捕okという命令?が出ていたらしいですね。(具体的な内容はわかりませんが、集会をして呼びかけを行っただけで逮捕できちゃう状況)

もう大学側も必死です。力づくで抑え込もうとしてきていました。

僕も学生の逮捕を目にしました。

目の前で学生が警察に追われ逮捕される姿は説明難しいですが、、、

僕にはこんな簡単に逮捕することが1つの衝撃ではありました。

結局その日大学は閉まらず。

しかしその晩、警察や民間セキュリティ会社と学生側で追いかけっこが始まります。

学生側もどうやら石などで応酬した模様。

寮にいても、警察のスタングレネードやラバーブレットの音は聞こえるものです。

銃声は夜まで続きます。

そしてさすがにやばいとなった大学マネジメント。

2日間のキャンパスシャットダウンをお知らせします。

まあそんな簡単には抑え込めるならみんなやっているよと。

対症療法では限界が来たわけです。1日で。

こうした力づくの戦略の裏で、

実際反プロテストグループが組織されていました。

その名も「Kovsies Stabilis」。

("Kovsies"というのはUFSの学生の愛称)

大学マネジメントに警察動員などを呼びかけていたといわれています。

一種のロビー活動を行う組織?

実際授業再開の要求を大学に提出し、寄付で裁判まで持っていこうともしていました。

そこのFacebookページには学生だけでなくその親もコメントしたりしています。

ただコメント欄はアフリカーンス語だらけ。

(アフリカーンス語は主に白人やカラードが使用する言語。オランダ語から派生しました。)

(僕は反アフリカーンス語ではありません。むしろアフリカーンス語の授業を取っていました。)

もちろん白人以外もこのグループをサポートしていますが、

コメント欄を見れば、FEMとの違いは一目瞭然。

(学生がなかなか反プロテストを声高に叫ぶことが難しい部分もあり、

 コメントは学生の親などもおおかったですね。)

これは大学のFacebook投稿へのコメントでもよくわかりますが、

自然にプロテスト賛成:黒人、プロテスト反対:白人という構図になってしまうのです。

多くの白人が大学の学費を支払える一方で、

学費を支払えない経済状況にある多くが黒人(もちろんだけではないですが)です。

(一般的な傾向として)

タウンシップなどからきている学生にとっては自分の家に支払い能力があっても

払えない人たちの状況をよく見知っているのかなと。

実際以前記事に出てきたダーバンという大都市のタウンシップ出身の女の子は

実家のある地域では大学へ誰かが通うことになったら大ニュースだそうです。

その環境で育てば、自然と何かある種の体験として頭のどこかに残っているのかもしれません。

もちろん大学へ進学できないのは金銭的な理由だけでもありません。

南アの初等中等教育は質が悪い、また質の格差が大きいことで有名であり、

大学進学へ成績的な意味で準備ができていない人もいます。

(もちろんやる気のない人も)

また、多くの黒人学生がタウンシップ出身で家が貧しい場合、

学位を得て仕事を得ての収入は自分たちだけでなく、

親兄弟など家族のためにも一部使わなければいけません。

親兄弟以外の親族とのつながりも強いです。

この状況で貸与式の奨学金だけを拡大しても

結局そこへの支払いと家族のサポートでいっぱいいっぱいだよと。

これを一部の人は「Black Tax」と呼びます。

一方、中間・富裕層がそうした現実をどこか頭の中で知っていても、

無関心であったりどこかで意識の外に出してしまったりしているのかな・・・?

興味もないのかな。やっぱりどこかの遠い話のような。

(日本での自分も…はい)

学生としてはまず自分の生活が安定するかわからないのに、

リスクを取って他人をサポートできないという人もいます。

また、特に支払い能力のある親であれば、まず自分の子供を心配するのは当たり前な気もします。

貧困層出身でも、今大学におりもうすぐ卒業、仕事も得られそうだし、

そうすれば自分の生活も良くなるし家族のサポートもできる。

まずは自分の勉強を終えることが先であり、

今は他の人のためにリスクを冒せないという人もいます。

(そもそも全員が一度に動けばプロテスト自体がリスクにはならないのでしょうが、、、

 なんかゲーム理論みたい・・・ ?)

それらに加えて、「Free Education for ALL」という目標も1つの問題です。

プロテスト側からすれば”ALL”は支払えない人を強調した”ALL”。

反対・無関心側からすれば自分たちも含めた”ALL”。

支払える人にとっては、無料になればいいけど、

自分の学位や今年度の勉強を危険に晒してまで得るべきかと言われれば微妙。

また、反プロテスト学生と一口にいっても、

Free Education自体に反対の人も、

そこには賛成だけどキャンパスシャットダウンには反対という人がおり、なかなか複雑です。

こうしたそれぞれ違うバックグラウンドや考えを持つ中で、

プロテストの目的に合意できたとしても、その方法では対立、などととなってしまいます。

そしてその対立が学生間での対立となっていきます。

実際大学のFacebookページのコメント欄を見ていても、

プロテスト賛成側は反対側を”Selfish”だと呼び、

反対側は”Enough is enough.” 大学教育はPrivilegeでありrightではないと言ったり、

正直議論と罵倒が混在してるわけです。

これはSNS一般(だけじゃないかもですが)にいえることかもですが、

余計な一言、

なぜか自分の主張をするときに相手個人の人格を否定するような全く必要のない

(自己満足でしかない)表現がありますねと。

そこらへんの個人的な議論で言ってる分にはいいわけですが、

今回のようなケースでそんなことをしてもお互いを遠ざけるだけで、

全くプロテストも大きくならないし、対立感情を煽るだけだなと。

プロテストを大きくするわけでも小さくするわけでもなく、学生を分裂させるだけ。

そうなると、ますますお互いでコミュニケーションを取って…という風にもなりづらい。

相手に「敵」とラベルを付けてしまうのかな。

再掲

Kovsies Stabilisはその投稿の1つで、

10月10日に授業が行われたこと・プロテスト学生が逮捕されたことを「勝利」と称します。

我々の正義は達成されたのだと。

またFEMも、

授業再開をお願いした学生の個人メッセージをFacebookで名前付きで出し、晒し者にしました。

寮の1年生(僕も”1年生”です//)whatsappグループでも、プロテスト賛成・反対で言い合いに。

プロテストする側からは、

同じ政治意識を持てないやつとのBrotherhoodはただのfakeでしかないというコメントも。

それだけ、1年間過ごしてきたほかの学生間でも簡単に対立に発展してしまう、

とても敏感で感情的な問題になってきました。

(Kovsies Stabilisをサポートしない反プロテストはOpen UFSというグループを組織し、

 サイレントなカウンタープロテストを行ったりしています。)

ちなみに、10月11日以降もプロテストで逮捕者が出ており、

僕のグループワークのリーダーと寮のルームメイトは逮捕されました。

2日で保釈となりましたが。

ルームメイトは寮の前で車の通行を妨害していたところ

“Public Violence and Violating the Court Order”のような感じで逮捕されたみたいですね。

そんなこんなで、

10月13日㈭もキャンパスシャットダウン。

そこで、大学から思い切った決断が。

10月いっぱい授業・試験等はなし。留学生や院生以外は寮を離れ帰宅せよ。

こんな感じです。

この期間に何とか頑張ります。というものでした。

それからは多くの学生が帰宅し、キャンパスは静かとなりました。

寮前

右手に心理学棟

他の大学では引き続きプロテストがあるところも、

とりあえず学費は上げないことで沈静化したところもありまちまちです。

沈静化のために政府も下の写真のように、

SNS上でどれだけサポートしてきたか・するのかを"sponsored"の投稿でアピールしています。

ちなみにこれがどれくらい効果があるのかは不明です。

たぶんもともとプロテストに参加していない人には効果抜群!?

UFSでは授業妨害なく学期を終えるため、

残ったすべての授業・中間試験・レポート(一部の学部の最終試験も)などはオンライン、

最終試験だけ教室でという感じです。

(例えば僕の受けている授業はほとんどが中間試験2回とレポート1枚、そこで40%以上を取れたら最終試験いける。最終試験とそれまでの点数を合わせて50%以上で合格という感じです。ちなみに基本素点なので、もし先生が配慮する場合でも再試験やレポート再提出で対処します。)

このやり方で今週から"授業"再開となっています。

一部の学生がオンラインでもできないように

コンピューターラボや図書館を襲撃するという噂も流れましたが、

いまだキャンパスは平和です。

正直かなりUFSでは#FeesMustFallは沈静化してきているように感じます。

すくなくとも見える範囲では。

もちろん心の中でその目標を達成すべき、何とかしたいと思っている人は多いでしょうが、

実際授業妨害できない状況で、

プロテストを継続して逮捕されて・・・という選択と

とりあえず最終試験までやって自分の学位等を安全にして…という選択であれば、

プロテストしている学生たち自身が経済的に決して恵まれていない人が多いことを考えると、

後者を取るのが合理的な気がします。

かつてアパルトヘイト時代は、

"Liberation before Education"を掲げ、

多くの学生(初等中等の生徒も)がプロテストしたり、軍事訓練を受けに海外に逃れたりなどしていました。

しかし、共通点が実際にあるとしても、やはり社会は少なくとも変わったんですね。

その頃と同じようにはできません。

そこがまた難しいところですね。

警察による容赦ない逮捕も多少沈静化に貢献しているように感じます。

例えばルームメイトは10月後半に保釈された後実家で過ごし、

母親に「運動も大事だけど、今はまず自分の勉強も大事にしてほしい」と言われ

もうとりあえず今年度はプロテストには参加しないと言っていました。

家族から離れてどこまで気持ちが続くかはわかりませんが、

家族が大好きでとても大切にする南アの人のことを考えると

母親からの言葉はかなり強く響いてるんじゃないかなと。

単純にミーハーで乗り込んだ人たちが疲れた・勉強にシフトしたという可能性もあるでしょう。

また、ニュースは「State Capture」という政府とビジネス一家との腐敗した関係にフォーカスしており、

落ちてきた支持と相まって、世間の興味関心からは離れつつあるのかなと。

2学期は7月から始まっていたので、

ほとんど終わりかけというタイミングでもありましたが、

だからこそ大学マネジメントも反プロテスト学生も必死になり、

それに対してプロテスト側も頻繁にmass meetingを開き対抗していました。

プロテスト側が一歩も譲らず(譲る気もなく)、政府も警察を動員するしかない状況を見ると、

ハーバード流の原則立脚型交渉でいけたら、もっとスムーズなのかな~とか思うわけです。

この運動が厄介なのは、Helen Zilleという政治家が指摘したように、

ただの学費の話ではなく、高等教育システムや社会全体に対するプロテストだからです。

運動の過程で出てきたのは、ただの学費値上げ?無料化?だけではなく、

教育をいかに非植民地化するか

(まだまだ黒人教員の数は多くはありません。カリキュラムも?)といった問題や、

教育とは関係ない植民地化によって奪われた土地を返せというような主張も起こっており、

一種の「革命」を起こしたいのではないかと言われています。

アパルトヘイトが終わって20年以上経つわけですが、

世界一レベルの格差や根深い貧困・失業問題などまだまだ問題しかありません。

それを考えるとこうした動きも、起こるわなという感じですが、

本当にそこを変えるためにはあとうん十年は必要そうであり、

問題提起としてのプロテストならまだしも、

学生プロテストで変えていこうというのは

このままキャンパスシャットダウン手法では限界はありそうですね。

政府はプロテストに対して、

貧困層や「Missing Middle」と呼ばれる層への奨学金等での援助を増やし、

実質的に値上げの影響を受けるのはほんの一部だとしていますが、

さてどうなることやら。

みなさんもこんな社会のダイナミックさを体感しに南アフリカへお越しになってはいかがでしょうか?

... Qwaqwa

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