農村訪問記 ~俺氏狼狽の「留守児童」小学校~
ハ━━━ヾ(。´囗`)ノ━━━イ
お久しぶりです。 留学期間もあとわずかとなってきました。
最近は専ら日中交流会に参加していますね。激しく交流しています(笑)
本題に入ります。
僕は最近pia_smileというボランティア団体と共に
中国・河北省の滦平县の農村にある小学校を訪れました。
そこでいわゆる「留守児童」と一緒に授業をうけたり、交流したりしました。
その過程で感じたことをつらつらっと書いていきたいと思います。
簡単に言うと、「留守児童」とは農村で両親と離れて暮らす子供たちです。
その理由は複雑で、今の中国の社会と密接に絡み付いています。
中国では社会主義の計画経済の下に、
農民を農村に縛り付けるために「戸籍登記条例」というものが出されました。
この条例により、戸籍は農村戸籍と都市戸籍に分けられ、
農村戸籍の人は簡単には都市に移り住むことができなくなりました。これが文化大革命以前の話です。
改革開放の時代に入ると、農村の生産力が向上し、農村に余剰労働力ができるようになりました。
農民たちがより良い雇用を求めて、都市で出稼ぎにいくようになりました。
このように、農村戸籍のまま都市で働く人々を「農民工」と呼びます。
(この言葉は幾分か差別的な意味合いを含むようです)
従来の行政機関はこの農民工達に十分な保健衛生、教育、社会福祉を提供してきませんでした。
(ここ10年でようやく、一部の省が戸籍の一本化に踏み切ったようです。
しかし、依然として問題は山積みです。)
ここまでが農民工に関する説明です。 興味のある方は朝倉書店の『中国』2011年版の42ページから46ページをご覧下さい。
で、留守児童ですね。
留守児童とはこうした農民工の子供たちです。
彼らは両親と共に都市に行くことはできません。
なぜなら、都市に行っても、彼らは学校教育をうけれないからです。
それゆえ、彼らは農村に残って、親戚や祖父母に預けられて育てらます。
すると、両親がいないために、彼らの成長、特に心の成長に大きな問題が生じるとのことです。
また、事件に巻き込まれる可能性も高くなるようです。
(もっと知りたい方は下記のリンクから飛んでください)
「中国、経済格差の歪み 留守児童6000万人の実態」 http://news.yahoo.co.jp/feature/66
【追記 (2016年4月30日追加)】
農民工が都市で教育、福祉などの公的なサービスを受けられない理由として、
費用がかかりすぎることが挙げられます。
農村から流入してくる農民工の面倒までは見てられない!ってことですね。
さらに、農民工に都市戸籍を与える制度を作ってしまうと、農民工がますます都市に流入してきます。
なぜなら、農民が農村では暮らすより、
都市に出てきた保障を受けながら、生活した方がはるかにいい暮らしができるからです。
(当たり前ですよね?保障がなくても、こんなに都市にでてくるので)
例えば、北京を例にとると、ひどい交通渋滞、日本と遜色ない地価など人口過密が顕著です。
もし僕が北京市市長なら、人口過密を抑えたいと思いますね(笑)
ただ、これは上海、北京、関東などの大都市に限ったことだそうです。
それ以外の地域では、農民と都市民の差がそこまでひどくはないそうです。
前置きはこれくらいにして、今回の旅について、述べていきたいと思います。
農村の学校と聞いていたので、汚い校舎を想像していた僕の想像は一瞬で裏切られました。
僕の通っていた小学校よりも綺麗です(笑)
ただ、校内にトイレがなくて、使用可能なトイレもトイレと呼び難いものでした。ボットン便所です。
日本にいると、気づきにくいことですが、
水道のインフラを整備するのは、きっと僕らの想像よりもはるかに大変なのでしょう。
最初に僕らは小学校の国語の授業を見学しました。内容は『弟子規』という道徳を解いたものです。
授業に入る前に、先生が子供たちに毛沢東の詩を暗唱させてました。
どの子もよどみなくスラスラと吟じていたので、面食らいました。
その後は、先生が古文を生徒に訳させたり、意味を解釈させたりしていました。
積極的に手を挙げて、自分の意見を述べる子が多くて、これまた面食らいました。
古文を読み終わったら、先生が干ばつ、塩害、地球温暖化などの写真を子供たちに見せて、
「共通点は何?」と聞きました。そして、理由を述べました。
「これらは全て人によって引き起こされた災害です。人々の道徳心の欠如から引き起こされたものです。だから、みんなも道徳心を持とう!」みたいなことを言っていました。
それから、
「この教室も机もみんな道徳のある人がくれた。みんな解放軍のおかげだ。」と言っていました。 よくわかりません(笑)
その次にジャック-マー(アリババのCEO)の写真を見せて、
「なぜ彼は尊敬されているの?彼の見た目がいいから?」と聞きました。
子供たちは「ううん!」と答えました。
じゃ、「なんで?」と先生は問いました。
何人かの生徒が答えましたがまとめると、
「彼が自らの才能を発揮し、成功したから」みたいなことを言っていました。
そこで、先生が
「そう!だから、人は見かけではなく、中身で判断しなければならない。」
とコメントしていました(笑)
このように、古文の読解から現代の諸問題や道徳にまで言及した授業をしていました。
これには非常に感心しました。
先生は20代の若い先生でしたが、非常に明快でわかりやすい授業をなさっていました。
そして、授業の終わりの際には、子供たちが僕らの方を向いて、
「朋遠方より来たる、これまた楽しからずや」と論語の一説を述べてくれました。
この授業に参加して、「ものすごく統率が取れているな」と感じました。
授業の初めと終わりの挨拶や、授業中の態度がすごく良かったです。
たぶん、二三回くらい練習したと思いますけど(笑) まあ何はともあれ、すごかったです。
その次に、みんなで一緒にスポーツをしました。この時は特に何も感じなかったので、省略!
この日はこれでおしまいです。 学校から1時間くらいのところのホテルに行って、
ご飯を食べて、軽く飲み会をやって、爆睡しました。
次の日もまた、小学校に行きました。 今度は小学校の教室で交流をしました。クイズや折り紙をしました。
その時に、心に残ったことが2つあるので、そのことについて、述べたいと思います。
ひとつは、子供たちが中国人のウエディングドレスの色を知らなかったことです 中国語の中には「紅白喜事」という言葉があり、「紅」は結婚式を指し、「白」は葬式のことを指します。
(中国では、葬式は一応めでたいこととされてます)
このような言葉があるにも関わらず、子供たちがウエディングドレスの色をしらなかったのには、
驚きました。(少なくとも日本の小学5年生くらいだと、みんなわかると思います。)
たぶん、農村では結婚式を挙げれるほどの裕福な家庭はあまりいないからだと思います。
《追記》
この話を中国人に聞くと、最近は欧米式の純白のウエディングドレスを使う人が増えてきたそうです。
なかには、まず純白のウエディングドレスを着てから、
燃えるような紅いウエディングドレスに着替える新婦もいるそうです。
ただ、農村では伝統的な価値観が残っているから、
紅いウエディングドレスを切る人の方が多いと言っていました。
それと、結婚式は大事な行事なので、農村だろうが挙式すると言っていました。
ただ、このように言っていた子は都市の子なので、あまりあてになりません(笑)
どちらにせよ、中国は広いので、十把一絡げに論じることはできないと思います。
あと、もう一つがものをあげた時の反応です。
大体の子が最初は「いらない」と言います。その結果、僕達が別の子にあげると、すごくいじけます。
たぶん、先生が子供たちに
「日本人がなにかくれようとしても、欲しがってはいけません!」とか言っていたと思います。
それを忠実に守っていた子が「いらない」と言うと、他の子が何かを貰えることになります。
そうすると、先生の言う事を聞いていた子が割をくうことになります。
だから、いじけていたのだと思います。
その後は閉会式をして、バスで北京に帰って、お疲れ会をして、今回の旅が終わりました。
まとめると、楽しい旅ではありましたが、思いの外、収穫が少なかったように思います。
僕個人としては、もっと子供たちの普段の姿を観察したかったです。
授業の時も交流会の時も、彼らはずっと気を使ってたような気がします。
それと、学校からでて、農村を見ることができなかったのは残念でした。
その辺の村人に話を聞いたりもしたかったです。
せめて、先生に
「この村で結婚式はどれくらいの頻度で行わられるのですか?」
「子供たちの進路はどのようなものですか?」
とか聞きたかったです。